2010 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンレセプターによる核内受容体LXRの転写活性化制御機構の解析
Project/Area Number |
09J00476
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 蓉子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エストロゲンレセプター / LXR / トリグリセリド / 新規化合物 |
Research Abstract |
本研究員は現在エストロゲンレセプター(ER)による核内受容体LXRの転写活性化制御について解析を行っている。これまでの報告からエストロゲンが減少する閉経後の女性で高脂血症や脂肪肝を発症する人が増加することが知られている。このことから、エストロゲンが脂質代謝異常を抑制することが示唆されている。また、LXRの標的遺伝子は主に脂質代謝関連遺伝子であることが知られている。このことから、本研究員はエストロゲンがLXRの転写を制御するのではないかと考え、研究を進めた。その結果、エストロゲンがLXRの転写活性化を抑制する制御機構を明らかにした。しかし、エストロゲンはこれまでの報告から、ERの転写活性化により発がん促進作用が知られている。そこで、本研究員は次にエストロゲン以外のERリガンドでERの転写制御とLXRの転写制御を個別に制御できるような化合物の探索を検討した。その結果、ERの転写活性化を示さずにLXRの転写活性化のみを抑制できるような新規化合物の同定に成功した。また、これまでの報告からLXRリガンドにより脂質代謝関連遺伝子の発現が上昇することでトリグリセリドの値が上昇することが知られている。本研究員はさらにこの上昇したトリグリセリドの値が新規化合物により抑制されることも明らかとした。 エストロゲンによるトリグリセリドの抑制機構にはEREの転写活性化とは異なる新たなメカニズムがあることを示唆された。このメカニズムの解明は新たなる脂質代謝異常の治療薬の開発につながると考えられる。
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