2011 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンレセプターによる核内受容体LXRの転写活性化制御機構の解析
Project/Area Number |
09J00476
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 蓉子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ER / LXR / エストロゲン / 脂肪肝 / トリグリセリド / リガンド / p300 / SRC-1 |
Research Abstract |
肝臓は生体内においてさまざまな代謝制御に関与する重要な臓器として知られている。その機能の低下は重篤な疾患に繋がると考えられるため、肝疾患に着目し、そのメカニズムの解明を進めた。 まず、女性ホルモンであるエストロゲンが肝臓におけるトリグリセリド(TG)蓄積(脂肪肝)を抑制するという報告から、エストロゲン受容体(ER)による脂肪肝抑制機構についての解析を行った。脂肪肝は、核内受容体の一つであるLXRの転写活性化により引き起こされることが知られている。本研究では、ERとLXRのcross-talkの可能性に着目し研究を進めた。その結果、ERのリガンドであるエストロゲン(E2)がLXRリガンドにより誘導される脂肪肝を抑制することを明らかとした。またその際、E2がTG合成に関与するLXR標的遺伝子の発現を低下することも明らかとした。これらの作用はERノックアウトマウスでは認められなかった。このことからE2はERを介してLXRの標的遺伝子の発現を低下し、TGの蓄積を抑制することが示唆された。次にERがLXR標的遺伝子の発現を制御する分子メカニズムについて解析を行った。 免疫沈降法により、ERがLXRとリガンド非依存的に相互作用することを明らかとした。また、クロマチン免疫沈降法を用いた解析によりER-LXR complexのLXR target promoter上への結合もリガンド非依存的であることを明らかとした。一方、転写共役因子p300とSRC-1のLXR target promoter上へ結合がLXRリガンドにより促進するのに対し、これらの結合能がE2により抑制されることを明らかとした。以上の結果から、リガンド依存的にER-LXRcomplexが転写共役因子と複合体を形成し、転写を制御している可能性が示唆された。この新規のER-LXR pathwayの解明は、今後の肝疾患治療に繋がると期待される。
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Research Products
(2 results)