2010 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌ゲノムの情報学的解析を基盤としたtRNA遺伝子の起源と進化の探求
Project/Area Number |
09J00524
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅原 潤一 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | tRNA / 古細菌 / ゲノムインフォマティクス / 分子進化 / イントロン / トランスースプライシング |
Research Abstract |
近年、イントロンを介在するtRNAや、tRNAの右半分と左半分が二つのゲノム領域に分かれてコードされるtRNAなど(Split tRNA)、ゲノム上で断片化されたtRNA遺伝子が相次いで発見された。タンパク質合成系の中心をなすtRNAの起源や進化を解明する上で、この断片化の経緯や進化的な位置づけを明らかにすることに注目が集まっている。 本研究では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同により、ある一種の古細菌集団が占有する環境中から採取・決定されたメタゲノム配列を、独自に開発したtRNA遺伝子予測ソフトウェアであるSPLITSにより解析した。この結果、新規tRNA遺伝子を多数発見したのみならず、ある一種の古細菌集団の個体間において特定のtRNA遺伝子にイントロン介在数の違いなどの異質性があることを明らかにした。さらに、これらの異質性が、外来DNAによる部位特異的組換え等により生じた可能性を示した。本成果は、tRNA遺伝子の分断化がなぜ、どのように起こるのかという問いに対する一つのモデルを示し、tRNA遺伝子進化の理解に新たな知見を加えるものである。
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