2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00526
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
原田 春美 生理学研究所, 大脳皮質研究系, 特別研究員(PD)
|
Keywords | A170/p62/Sqstml / レプチン / メタボリックシンドローム / 視床下部 / 過食 |
Research Abstract |
A170はマウスにおいて見出された酸化ストレス誘導性のタンパク質であり、ラットのZIPおよびヒトのp62タンパク質とアミノ酸レベルで高い相同性を持つことが知られている。また近年ではオートファジーによるタンパク質分解系に関与する因子として注目を集めている。先行研究からA170遺伝子欠損マウスは肥満を呈することが明らかになっており、本研究課題では昨年度までに中枢におけるレプチンシグナル伝達因子の活性化異常を起因とした過食が著しい体重の増加およびそれに伴ったメタボリックシンドローム発症に関与している可能性を明らかにした。しかし、A170タンパク質は全身の組織においてユビキタスに発現していることから、本年度は新たに構築した中枢特異的A170欠損マウスを用いて、全身欠損型との比較を行うことにより中枢における機能を明らかにすることを目的とした。その結果、中枢欠損マウスにおいても全身欠損型と同様に体重の増加率が野生型と比べて高い傾向が認められ、A170欠損マウスにおいて認められる過食およびメタボリックシンドロームの発症が中枢におけるレプチンシグナル伝達異常により惹起されているという仮説が強く裏付けられた。また本年度は凍結割断レプリカ免疫染色法を用いた電子顕微鏡による神経細胞の詳細な観察手技を習得した。本技術を用いることにより神経細胞内におけるタンパク質の分布や局在を可視化することが可能であり、今後本研究課題の発展としてA170発現神経群におけるレプチン受容体の分布や密度など詳細な解析を行うことにより、A170タンパク質欠損によるレプチンシグナル伝達異常の詳細なメカニズムおよび摂食調節機構におけるストレスタンパク質の役割を明らかにしていくことが期待できる。
|
Research Products
(3 results)