2010 Fiscal Year Annual Research Report
好アルカリ性Bacillus属細菌のMrp複合体の構造解析
Project/Area Number |
09J00562
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
守野 正人 東洋大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質複合体 / 好アルカリ性細菌 / タンパク質精製 |
Research Abstract |
本研究ではアルカリ環境に対する細菌の適応機構の一つとして考えられているNa^+/H^+アンチポーターの解析を行っている。Na^+/H^+アンチポーターは、細胞膜に内在した状態で機能するが、その構造、機能および制御機構などから様々な種類のアンチポーターがこれまでに発見されている。本研究対象のMrp複合体は、他のNa^+/H^+アンチポーターと異なり、複数のサブユニットからなるヘテロオリゴマーとして機能する特徴をもっている。またMrp複合体は黄色ブドウ球菌やコレラ菌などの病原菌をはじめ、多くの細菌において発見されている。 本年度は前年度に引き続き、Mrp複合体の精製を試みたが、精製した酵素を人工脂質膜へ再構築することで微弱ながらもその活性を検出することができた。Mrp複合体の精製と再構築については、これまでに報告例がなく、今後さらに条件の検討を進めることでより詳細な機能および構造解析の進展が期待できる.これまでは塩化アンモニウムを用いたプロトン濃度勾配によりMrp複合体の活性化を試みていたが、高純度に精製されたF-ATPaseを共に人工脂質膜へ再構築することで、より安定にプロトン駆動力を構築することができ、Mrp複合体の活性を検出することができた。Mrp複合体自身の精製方法についても、これまでは界面活性剤ドデシルマルトシドを用いて細胞膜から抽出していたが、デシルマルトシドを用いることで活性なMrp複合体が抽出でき、活性が得られることが確認できた。 また、アミノ酸置換変異の導入により、重要残基の同定および各サブユニットの機能的役割についても論文にまとめることができた。さらに呼吸鎖複合体Iサブユニットと相同性のあるMrpAサブユニットのカルボキシ末端が、その複合体形成過程においてMrp複合体特有の役割を果たすことが新たに導入した変異により明らかになった。
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Research Products
(4 results)