2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国のミャンマー人コミュニティと現地社会の相互関係に関する人文地理学的研究
Project/Area Number |
09J00596
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野澤 泰子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タイ / ミャンマー人 / 移民 / 移住 / コミュニティ / すみわけ |
Research Abstract |
本研究は、タイにおけるミャンマー人の行動様式、コミュニティの特徴と地理的分布の実態について分析を行い、人文地理学的にミャンマー人コミュニティの構造および現地社会との相互関係を明らかにすることを目的とする。 前年度までの調査により、ミャンマー人の信仰宗教や民族アイデンティティが、彼らのタイにおける職業選択・コミュニティ活動・現地社会との関わり方に大きく影響を及ぼしていることが明らかになった。本年度では、これまでの調査結果を論証するためさらに聞き取り調査をし、分析と論文的裏付けを進めた。解明したことは以下のようにまとめられる。 1.ミャンマー人がタイ社会で生活する際、仏教やキリスト教といった宗教組織が、彼らの就業・居住地の選択や文化的活動において手助けをする役割を担っている。サムットサーコーン県では、仏教系ネットワークが存在し、多くの仏教徒ミャンマ…人を引き寄せる要因となっている。一方、バンコクではミャンマー人のためのキリスト教組織がいくつも存在しており、仏教組織よりも強いネットワークがみられる。 2.宗教組織以外にも、タイのNGO組織やエスニック集団組織、ミャンマー人によるNPO組織が存在し、ミャンマー人コミュニティに支援活動を行っている。サムットサーコーン県では、1・2次産業に従事する労働者が多いため、彼らの支援を行う宗教組織やNGO組織は、タイのホスト社会が主体となっている。2・3次産業に従事するミャンマー人が多いバンコクでは、コミュニティ支援組織の主体はミャンマー人である。 3.ミャンマー人コミュニティは、サムットサーコーン県においてはミャンマー人の集住がみられ「可視な存在であるのに対し、バンコクではミャンマー人は分散して居住しているため「非可視」な存在である。そのため、特にバンコクにおいてはミャンマー人のための組織の存在は、ミャンマー人にとって重要である。
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