2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミ多体系の量子相転移とBCS-BECクロスオーバー
Project/Area Number |
09J00624
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作道 直幸 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 冷却原子気体 / BCS-BECクロスオーバー / 量子クラスター展開法 |
Research Abstract |
引力相互作用する二成分冷却フェルミ気体は,粒子間相互作用を連続的に変えると,クーパー対を組むBCS状態から,分子ボソンのBEC(ボース・アインシュタイン凝縮)状態まで連続的に変化する。これをBCS-BECクロスオーバーと言う。この両極限である,BCS極限およびBEC極限は比較的良く分かっているが,ユニタリティ領域と呼ばれる中間領域については良く分かっていない。 この領域を解析するのに通常用いられるのは,Nozieres,Schmitt-Rinkの内挿理論である。この方法はBCS領域は正しく捉えられているが,BEC領域はどこまで正確なのか明らかではない。 本研究では,BCS-BECクロスオーバーの解析に,Lee,Yangの量子クラスター展開法を用いる。この手法は,大分配関数の対数を,フガシティーで多項式展開する方法である。この方法の利点は,2体問題を厳密に扱うことが出来ることであり,特に束縛状態を持つ系も扱えるので,BEC領域の解析に強力だと考えられる。 今年度は,特に,分子ボソンを形成する原子のフェルミ統計性に注目し,研究を行った。この効果は,3次および4次のフェルミ系のクラスター積分に現われる。これを計算することで,異なる分子ボソンに属する二つのフェルミ粒子間の量子交換効果を調べた。 また,合わせて三成分以上の多成分冷却フェルミ気体の量子相転移についても調べた。
|
Research Products
(5 results)