2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質およびその反応生成物による活性酸素種の消去反応の解析
Project/Area Number |
09J00625
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川島 知憲 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経伝達物質 / 活性酸素種 / ドーパミン / DNA切断反応 / 芳香族アミノ酸 |
Research Abstract |
神経伝達物質による活性酸素種の消去反応について、本年度では、神経伝達物質としてエピネフリンやドーパミンなどのカテコールアミン誘導体を用いて、これらのカテコールアミン神経伝達物質による活性酸素種の消去活性や、消去機構について検討した。その結果、ドーパミンによる活性酸素種の消去活性が、代表的な抗酸化物質である緑茶カテキンに匹敵して、またその消去活性が他のカテコールアミン類とは異なり、プロトン共役電子移動反応で活性酸素種を消去していることを見いだした。残りのカテコールアミン類による活性酸素種の消去反応は一段階の水素移動反応で進行していることがわかった。さらに、活性酸素種によるDNA切断反応にカテコールアミン類の神経伝達物質を添加すると、神経伝達物質が活性酸素種を消去してDNA切断反応を阻害することがわかった。したがって、カテコールアミン類の神経伝達物質が生体内で活性酸素種を効率よく消去していると考えられる。 また、他の神経伝達物質であるセロトニンや、芳香族アミノ酸であるトリプトファン、チロシンに光照射を行うことによって、活性酸素種が生成して、DNAを切断することを見いだした。その活性酸素種が主にスーパーオキシドであることがわかった。また、神経伝達物質や芳香族アミノ酸から酸素への光誘起電子移動反応について検討を行った結果、その光誘起電子移動の速度はセロトニン、トリプトファン、チロシンの順で大きくなることがわかった。 以上、本年度の研究から、神経伝達物質やさらに芳香族アミノ酸と活性酸素種との反応の新しい知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)