2009 Fiscal Year Annual Research Report
リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素の機能解析
Project/Area Number |
09J00652
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島本 茂 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素 / リポカリン / プロスタグランジンD / NMR |
Research Abstract |
本研究は、脳内の主要蛋白質であるL-PGDSの機能を原子レベルで解明することで、生体内のL-PGDSをターゲットとした睡眠調節薬やL-PGDSを利用した疎水性有害物質除去薬(解毒剤)、または、アミロイドβ(Aβ)凝集阻害によるアルツハイマー病治療薬などの開発を目指す。 L-PGDSとPGH_2(基質)安定誘導体U-46619を結合させ、複合体が溶液中で安定な条件を模索し、NMR測定(約2週間)に十分耐えうる安定な溶液状態を決定後、NMRによりL-PGDS/U-46619複合体の溶液構造を解析した。結果として、L-PGDSはリガンド結合により構造変化を起こし、そのリガンドの形状に適応する機能があることを明らかにした。さらに、基質と非常に近い構造を持つ誘導体U-46619の結合モデルから詳細な"L-PGDSの基質認識および酵素反応機構"を明らかにした。現在、その内容をまとめ、論文を執筆中である。さらに、L-PGDSの基質結合部位の構造情報を基にL-PGDSの酵素活性阻害剤の探索・評価を行った。得られた成果は、アメリカ生化学会発行のJ.Biol.Chen.誌に発表した。 また、アミロイド繊維形成過程における脳内シャペロンL-PGDSの役割解明のためL-PGDSとAβペプチドの相互作用解析を行った。具体的には、^<15>Nラベル体L-PGDSにAβペプチドを滴下し、それに伴うNMRシグナルの変化を見ることでL-PGDSにおけるAβペプチドの相互作用領域を推定した。L-PGDSがAβペプチドに結合すること、さらに、バレル構造を有するL-PGDSのバレル内部にAβペプチドが結合することが示唆された。
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