2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原性点突然変異型ミトコンドリアDNAを有する病態モデルマウスの作製・病態解析
Project/Area Number |
09J00663
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横田 睦美 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミトコンドリア / 呼吸酵素複合体 / 病態モデルマウス / 活性酸素種 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、ミトコンドリアの呼吸酵素複合体I遺伝子にG13997A点変異を全身に100%で有するモデルマウス(mito-mice A11)の解析を行った。まず、3ヶ月齢のmito-mice A11の組織中のミトコンドリア呼吸酵素複合体I活性を測定した。その結果、WT mice(C57BL/6 mice)の酵素活性と比べて約30%低下することが明らかになった。一方、このモデルマウスを作製するのに用いたマウス肺がん細胞(A11細胞)はG13997A点変異を100%し、それによってミトコンドリア呼吸酵素複合体I活性が約80%も大幅に低下し、活性酸素種が過剰に産生されていた。従って、A11細胞とmito-mice A11は同じG13997A点変異を100%しているにもかかわらず、呼吸酵素複合体Iの機能低下の程度が異なることが明らかになった。また、3ヶ月齢のmito-mice A11の組織中の活性酸素種の量もWT miceと変化がなかったため、mito-mice A11にはG13997A点変異の病原性を抑制する何らかの防御機構が存在すると考えている。 今後、若齢期のmito-mice A11で見られた防御機構が加齢に伴って破綻し、老化したmito-mice A11では呼吸酵素複合体I活性が更に低下し、活性酸素種が過剰産生され、何らかの病態を発症する可能性がある。そうなれば、呼吸酵素複合体I遺伝子の変異や呼吸酵素複合体I活性の低下、それによる活性酸素種の過剰産生等との関連が報告されているLeber病や神経変性疾患、老化、がんなど様々な疾患について因果関係が解明できると期待している。最終的にはこのモデルマウスを用いて、それらの疾患の治療法を探索する予定である。
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Research Products
(1 results)