2010 Fiscal Year Annual Research Report
病原性点突然変異型ミトコンドリアDNAを有する病態モデルマウスの作製・病態解析
Project/Area Number |
09J00663
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横田 睦美 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミトコンドリア / mtDNA / 呼吸酵素複合体I / ROS / 抗酸化酵素 / 高乳酸血症 / LHON |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ミトコンドリアの呼吸酵素複合体I遺伝子上のG13997A点変異を全身に100%で有する新たなマイトマウス(mito-mice13997)の解析を行った。前年度に確かめられた様に、3ヶ月齢のmito-mice13997においては、呼吸酵素複合体Iの軽度な(約30%)活性低下が確認されたが、活性酸素種(ROS)の過剰産生は認められなかった。この原因として、呼吸酵素複合体Iの活性低下により産生される過剰なROSが抗酸化酵素により消去されている可能性が考えられた。そこで、3ヶ月齢のmito-mice13997における抗酸化酵素の発現量を調べたところ、抗酸化酵素の一つであるGlutathione peroxidaseの発現量が上昇傾向にあることが示された。しかし、WT mice(C57BL/6 mice)との有意差は認めらなかったため、ROSを抑える別のメカニズムがmito-mice13997生体内に存在する可能性も考えられる。 次に、G13997A点変異によりミトコンドリア病と類似する症状がmito-mice13997において引き起こされているか解析した。mito-mice13997において、ミトコンドリア病の臨床症状の一つである高乳酸血症を呈しているか調べたところ、軽度な高乳酸血症が認められた。また、呼吸酵素複合体I遺伝子の変異が原因で引き起こされると言われるLHON(Leber遺伝性視神経萎縮症)様病態がmito-mice13997において認められるか調べたところ、視神経萎縮等の病態は認められなかった。近年LHONは、mtDNAの変異だけではなく核の遺伝因子との相乗効果で引き起こされると言われており、mito-mice13997においても異なる核遺伝子系統のマウスとの交配によりLHONが引き起こされる可能性がある。 従って、G13997A点変異は若齢期のマウス生体に大きな病態変化を及ぼさないことが示唆された。今後、mito-mice13997における加齢や 異なる核遺伝因子の導入による病態変化をさらに解析する必要がある。
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Research Products
(1 results)