2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣の改善が動脈伸展性を増大させる機序の解明:血管炎症マーカーPTX3の検討
Project/Area Number |
09J00692
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮木 亜沙子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | PTX3 / 有酸素性運動 / 肥満者 / 動脈伸展性 / 心保護作用 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、生活習慣の改善による中心動脈伸展性増大のメカニズムに新しい炎症性タンパクであるPTX3が関与するか否かを解明することである。この目的を達成するために、今年度はヒトを対象として運動が血中PTX3濃度に与える影響について2つの検討を行った。1つ目は、若年男性において習慣的な有酸素性運動が血中PTX3濃度に与える影響を昨年度に引き続き横断的に検討した。検討の結果、習慣的に有酸素性運動を実践する若年男性の血中PTX3濃度は運動習慣の無い若年男性よりも有意に高値であった。また、同時に評価した動脈伸展性(超音波法にて測定)は運動習慣のある者で有意に高い値を示した。近年、PTX3の機能の1つに心保護作用がある可能性が示唆されている。すなわち、本検討は、習慣的な有酸素性運動により動脈伸展性が増大するメカニズムにPTX3の増大が関与している可能性を示唆した。この結果はアメリカスポーツ医学会の機関誌であるMedicine and Science,Sports and Exerciseに受理され、2011年に公表された。2つ目は、中年肥満男性における習慣的な有酸素性運動が血中PTX3濃度に与える影響を縦断的に検討した。12週間の有酸素性運動の実践により、中年肥満男性の血中PTX3濃度は有意に増大し、動脈伸展性(超音波法により測定)も有意に増大した。この結果は若年男性における横断的検討を支持する結果であり、肥満者においても習慣的な有酸素性運動により血中PTX3濃度や中心動脈伸展性は増大することを縦断的な検討により示した。この結果は第65回日本体力医学大会にて発表した。今年度の検討結果は、習慣的な有酸素性運動により血中PTX3濃度は増大することを示した。これらの結果は、本研究の目的である『生活習慣の改善により中心動脈伸展性が増大するメカニズムの解明』において、運動が血中PTX3に与える影響を明らかにした点で重要な結果であると考えられる。
|
Research Products
(3 results)