2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00701
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 暁子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 京都近郊 / 女性行商人 / 振り売り / 大原女 |
Research Abstract |
本年度はのべ31日間研究対象地域に赴き,資料および史料の収集,聞き取り調査を行った。とくに資史料に関しては,皇国地誌の稿本である「愛宕郡村誌」,「葛野郡村誌」(1881~1884年)の閲覧,および地籍図の閲覧・撮影を京都府立総合資料館において許可された。郡村誌は,各村落の地勢,人口,世帯数,寺社仏閣など基本的な統計情報に加えて生業が記された地誌であり,地籍図は,近代の土地区画や地目が分かる地図である。いずれも明治中期の対象地域の状況を示すための基礎となり,本研究が目的とする「都市近郊地域が地域住民の生業に伴って変化するプロセスを明らかにする」際,説得力を与える貴重な史料である。 また,現地では,当初予定していた京都市左京区静原地区,鞍馬地区に加えて,左京区北白川地区,北区鷹峯地区でも地域住民および関連機関に聞き取り調査を行い,生業の変化に伴う地域の変化についてのデータを収集した。聞き取り調査からは,いずれの地域においても「振り売り」と呼ばれる販売スタイルで居住地域の特産物を都市で販売する女性行商人の存在が確認された。振り売りを行う女性行商人は,都市と都市近郊地域を結ぶ役割を果たしていたことを見出した。以上の成果は,平成22年度の補充調査と合わせて学術雑誌へ投稿する予定である。 平成22年度は,個別地域の調査成果をまとめ,考察の作業を行う。とくに,平成21年度の調査で明らかになった女性行商人が果たす役割に着目し,近代における京都の都市近郊地域の変化のプロセスを導き出す。
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Research Products
(2 results)