2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム/キラルジエン触媒によるらせんポリマーの合成とその不斉誘起
Project/Area Number |
09J00711
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 善隆 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | らせんポリマー / ポリアセチレン / ロジウム触媒 / キラルジエン / 不斉反応 / 重合反応 |
Research Abstract |
当研究室がオリジナルに開発した触媒であるロジウム/キラルジエン錯体は不斉共役付加反応において、優れた活性、立体選択性を示すことが知られている。そのため、本触媒系は効率的な新規炭素-炭素結合形成反応の開発を行ううえで、非常に重要な位置を占めていると言える。そのなかでも、キラルジエン配位子の不斉環境を有効に活用できる新たな反応として、ロジウム触媒によるアセチレン類の重合反応に着目し、ジエン配位子の不斉場を利用することで、ポリアセチレンにらせん不斉を誘起させることを目的とした研究に取り組むことにした。合成目標である一方向巻きらせん構造を有するポリマーには、その特殊な不斉構造に由来する分子認識や触媒活性などの機能が期待されるため、らせんポリマーの分子設計および精密合成は、有機合成化学・高分子化学における重要な研究課題である。私は末端アルキンと内部アルキンからなる様々なジインを用いて、ロジウム/ジエン触媒によるポリアセチレン合成を行ったところ、1,8-ジインを用いたときに効率よく重合反応が進行することを見出した。配位子としてテトラフルオロベンゾバレレン骨格を有する光学活性ジエンを、モノマーとしてアキラルな窒素架橋1,8-ジインを用いたときに得られるポリマーには、明確な不斉情報の存在が確認された。これらの結果から本重合反応では、末端アルキンのみの挿入が優先するのではなく、分子間での末端アルキンの挿入と分子内での内部アルキンの挿入が交互に進行することで、安定ならせん構造を有するポリアセチレンが得られたと考えている
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Research Products
(2 results)