2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム/キラルジエン触媒によるらせんポリマーの合成とその不斉誘起
Project/Area Number |
09J00711
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 善隆 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロジウム触媒 / キラルジエン / 重合 / ポリアセチレン / ジイン / キラルポリマー / らせん不斉 |
Research Abstract |
一方向巻きらせん構造を有するポリマーには,その特殊な不斉構造に由来する分子認識や触媒活性などの機能が期待されるため,らせんポリマーの分子設計および精密合成は,有機合成化学・高分子化学における重要な研究課題である,申請者は,キラルジエン配位子によって精密に構築された金属周りの不斉環境に着目することで,新規らせんポリアセチレンを触媒的に不斉合成することに成功したため,本研究成果はキラルポリマー合成の分野において,学術的に意義深いものである. 22年度は,前年度に開発した1,8-ジインの不斉重合反応について,基質の適用範囲の検討を詳細に行った.得られたポリマーを種々の有機溶媒に溶かして,ポリアセチレンの比旋光度が変化する過程を調べたところ,本ポリマーは溶液中でラセミ化が非常に遅いことが判明した.また,内部アルキンに^<13>C原子を導入したモノマーを用いて同条件で不斉重合反応を行い,得られたポリマーの^<13>C NMR測定を行ったところ,sp^2炭素と同定できる幅広いシグナルが観測された.この結果は,モノマーを構成しているほとんど全ての内部アルキンが,反応中に二重結合へと変換されたことを意味している.さらに,得られたポリアセチレンの酸化反応を行うことで,7員環を有する低分子化合物が得られ,ポリマーの主鎖に環構造が導入されていることが示された.以上の結果から,本重合反応では末端アルキンのみの挿入が優先するのではなく,分子間での末端アルキンの挿入と分子内での内部アルキンの挿入が交互に進行することで,安定ならせん構造を有するポリアセチレンが得られたと考えられる.
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Research Products
(1 results)