2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00744
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 幸寛 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超楕円曲線 / アーベル多様体 / ヤコビ多様体 / 高さ関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は高さ関数を用いて代数多様体の有理点を研究することである。本年度は、これまで研究代表者が研究してきた超楕円曲線のヤコビ多様体における等分多項式の性質について研究を行った。前年度までに、等分多項式の係数が、超楕円曲線の定義方程式の係数が有理数体上生成する環をある元で局所化した環に含まれることを示していた。本年度、これを改良して、定義方程式の係数が有理整数環上生成する環をある元で局所化すれば十分であることを示した。特に、種数2の場合には2で局所化すれば良いことを示した。これは金山直樹氏が2005年に得ていた結果の改良にあたる。証明には、等分多項式の行列式表示と、一意分解整域上の多項式環でのグレブナー基底の理論が用いられる。この結果は、等分多項式を有限体上で考察する際にも重要となり、暗号理論などへの応用も考えられる。 また、本年度後半には、ソモス数列と呼ばれる数列に関する研究を行った。ソモス数列は双線形漸化式で定義される数列であり、楕円曲線やアーベル多様体との関係を持つことがある。特に、elliptic divisibility sequenceはソモス数列の特別な場合である。研究代表者は、ソモス数列がアーベル多様体から得られる場合、すなわちテータ関数で表示される場合に、ソモス数列が満たす関係式を行列式を用いて構成した。また、ソモス数列が代数体上定義されたアーベル多様体とその有理点から得られる場合に、数列の絶対値の対数の漸近挙動が有理点の標準局所高さで表されることを示した。証明にはファルティングスによるアーベル多様体上のディオファントス近似に関する定理が用いられる。
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Research Products
(1 results)