2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00744
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 幸寛 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソモス数列 / 楕円曲線 / 高さ関数 / テイト・リヒテンバウムペアリング / 超楕円曲線 |
Research Abstract |
本研究の目的は高さ関数を用いて代数多様体の有理点を研究することである。本年度は、ソモス数列と楕円曲線の標準局所高さ関数の関係に関する研究、および超楕円曲線上のテイト・リヒテンバウムペアリングに関する研究を行った。 ソモス数列は、斉次2次漸化式で定義される数列であり、楕円曲線やアーベル多様体と関係をもつ場合がある。また、特別の場合として、elliptic divisibility sequence(EDS)と呼ばれる楕円曲線から定まる数列を含んでいる。EDSは、近年楕円曲線の整数点の計算や楕円曲線暗号などへの応用で重要となっている。ソモス数列の漸化式が階数kを持つとき、ソモスk数列と呼ばれる。EDSはソモス4数列であるが、逆に、一般のソモス4数列は楕円曲線を用いて表せることが知られている。 本年度の研究において、ソモス4数列の付値の漸近的振る舞いに関する研究を行った。EDSについてはいくつかの結果が知られており、ソモス4数列についても無限素点では主要項は知られていたが、今回の研究では、ソモス4数列に対して、無限素点・有限素点双方に付随する付値について漸近的振る舞いを得た。楕円曲線には標準局所高さ関数と呼ばれる無限遠点との「距離」を測る関数が定義されているが、この標準局所高さ関数を用いることで、無限素点の場合と有限素点の場合を統一的に取り扱うことが可能となり、見通しよい証明を与えている。さらに、楕円対数の一次形式に関する最新の結果を用いることで、誤差項の評価も従来より改善された。 テイト・リヒテンバウムペアリングは近年暗号理論で利用されている超楕円曲線上のペアリングである。本研究では、まずelliptic netと呼ばれる楕円曲線に関係した写像を超楕円曲線に拡張し、これを用いてペアリングを計算する公式を得た。これはStangeによる楕円曲線の場合の結果の拡張である。
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Research Products
(9 results)