2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面への細胞外マトリックス薄膜形成による細胞機能の制御と積層化組織の構築
Project/Area Number |
09J00749
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
門脇 功治 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 再生医療 / 細胞の三次元積層化 / 交互積層法 / 高分子ナノ薄膜 / 細胞機能 |
Research Abstract |
学術のみならず、社会的、経済的にも注目を集めている再生医療分野において、細胞移植が成果をあげている一方で、移植効率の低さが指摘されており、生体外で生体類似組織を構築する技術の開発が求められている。近年、生体に見られるような細胞と細胞外マトリックス(ECM)から成る階層構造を構築する技術が報告されているが、細胞の増殖や分化が制御され、生体組織に匹敵する機能を有する組織の構築には至っていない。このような組織を構築するためには、細胞の界面構造や機能を制御しながら組織を構築する必要がある。本研究では、生体外で望みの細胞とECMを用いて、細胞の増殖や分化を制御した生体組織に匹敵する機能を有する様々な積層化組織の構築を目的とした。具体的には1.ヒト血管壁モデル組織や2.筋芽細胞からなる骨格筋モデル組織の構築を生体外で行う。本年度においては交互積層法により、細胞表面に様々な高分子やタンパク質ナノ薄膜を形成し、細胞機能(細胞生存、形状、増殖)の制御を検討した(K.Kadowaki, M.Matsusaki, and M.Akashi, Langmuir, online published)。ECM成分であるフィブロネクチンとゼラチンからなるタンパク質ナノ薄膜は、細胞表面において生体のECMに近い構造をしており、高い細胞親和性を有していることが示唆された。本手法を用いて、細胞の界面構造を制御することで細胞の機能が制御可能となり、生体組織に類似した構造と機能を有する組織の構築が期待される。来年度以降は、細胞表面にECMナノ薄膜を形成し、2層目の細胞の接着足場を提供することで細胞の積層化を検討する。具体的には、上述したヒト血管壁モデル組織や骨格筋モデル組織の構築および構造・機能評価を行う予定である。このように、生体外で様々な生体類似積層化組織が構築できれば、再生医療分野での移植効率の向上だけでなく、疾患モデル組織として発ガン実験や薬剤の効果判定などへの応用も期待される。
|
Research Products
(9 results)
-
[Journal Article]2009
Author(s)
明石満、門脇功治
-
Journal Title
遺伝子医学MOOK 別冊 ますます重要になる細胞周辺環境(細胞ニッチ)の最新科学技術-細胞の生存、増殖、機能のコントロールから創薬研究、再生医療まで-(株式会社 メディカル ドゥ)
Pages: 36-42
-
-
-
-
-
-
-
-