2010 Fiscal Year Annual Research Report
逆拡散火炎のメカニズム解明とバイオマスガス改質への応用
Project/Area Number |
09J00752
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中塚 記章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆拡散火炎 / 木質バイオマス / ガス化発電 / タール改質 / すす / 多環芳香族炭化水素 / 部分燃焼 / 光学計測 |
Research Abstract |
「研究の目的」:タール成分としてすすの前駆物質とされる芳香族炭化水素を含むバイオマスガス中に形成された逆拡散火炎の燃焼機構を解明し,部分燃焼方式によるバイオマスガスの改質に応用する. 「研究実施計画」 1.すすの体積分率の計測手法であるレーザー誘起赤熱法(LII法)と多環芳香族炭化水素(PAH)の体積濃度の計測手法であるレーザー誘起蛍光法(LIF法)を統合して行い,火炎近傍でPAHがすすに重合していく過程を考察 2.1.の計測結果と昨年度構築した軽質ガスと凝縮成分を同時に分析可能な専用の多成分燃焼ガス同時分析システムによる計測結果を照らし合わせて考察 3.芳香族炭化水素の重合過程を表現できる数値計算を行い,PAHの分解・重合挙動を考察 以下,上記の1.~3.に照らして記述する. 「具体的内容・意義」 1.同一平面におけるすすの体積分率とその前駆物質とされるPAHの濃度の二次元分布の計測結果から,火炎近傍でPAHがすすに重合する過程が流れ場よりも温度場の影響をより受けることが示唆された. 2.酸化剤への水素添加のすす低減効果を検討する実験を行った.多成分燃焼ガス同時分析システムによるPAH濃度の計測結果と,PAHの濃度計測結果が良い一致を示すとともに,ガス成分分析結果から求められる炭素収率の向上とLII法によるすすの体積分率の低下もまた良い一致を示すことから,すす低減効果が確かめられた. 3.計算モデルとして対向流拡散火炎モデルを新たに採用し,計算スキームとしてRichterらが構築した化学反応スキームを継続採用することで,バイオマスガスの逆拡散火炎近傍での詳細化学反応計算を行うことが可能となった.2.に記した酸化剤への水素添加によって,模擬タールが重合する領域の水素濃度が上昇することが示されたため,PAHの成長機構に基づくすす低減効果の考察が可能となった.
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Research Products
(4 results)