2011 Fiscal Year Annual Research Report
養育者の無意識的親行動を考慮した乳児の模倣発達メカニズムの構成論的モデリング
Project/Area Number |
09J00755
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 尚 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 子供ロボット / 愛着形成モデル |
Research Abstract |
本年度は、子供型アンドロイドAffettoの上半身機構開発と愛着形成の計算モデルの構築に取り組んだ。 発達研究に構成的手法を持ち込む認知発達研究において、実世界での子供の発達をシミュレートしてその過程を検証するためのロボットは重要な役割を果たす。これまでにもこの目的で多くの子供ロボットが開発されてきたが、それらのほとんどはサイズが小型であるという点でしか子供に似た特徴を備えていなかった。しかしながら、発達シミュレーションの進展に大きく影響する要素である人からの関わりを、実際の養育者から子供へのそれにできるだけ似たものにするためには、印象の点でも、また物理的な筋骨格構造の点でもより子供に似たロボットが望ましいと思われる。本年度は、接触やりとりにも対応可能で、動作音も静かな空気圧アクチュエータを用いたアンドロイドの上半身機構の開発を行い、ある程度の動作パフォーマンスを確認した。 またそれに加えて、人との間で豊かなやり取りが生起・維持されるようなロボットの行動メカニズムを検討するため、親子の愛着関係が形成されるメカニズムの解明に向けた愛着形成モデルの構築に取り組んだ。このモデルは、情動の変化を内的報酬とする強化学習的最適行動学習を行う子供の行動が、階層的な脳の構造と、養育者の敏感さや乱暴さなどとどのようにかかわりながら変化していくかを検討可能なものである。このモデルを用いたシミュレーションにより、発達心理学における観察で知られていた親子のいくつかの愛着の型の形成が、子供の脳機構の動作状態と養育者の反応傾向の組み合わせによって導かれることを示した。
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Research Products
(7 results)