2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア残留日本兵の社会史―東南アジア史のなかの近代日本―
Project/Area Number |
09J00780
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 英一 Keio University, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 残留日本兵 / インドネシア / 国籍・市民権 / 社会史 |
Research Abstract |
研究課題であるインドネシア残留日本兵の社会史を東南アジア史のなかで論じるためには、インドネシア側の視点を詳述することが不可欠である。そのため2009年6月から2010年にかけてジョクジャカルタのガジャマダ大学文化科学学部歴史学科を拠点として、現地の歴史家の手ほどを受けながら文献調査と聞き取り調査を実施した。具体的には、独立戦争後、スハルト新体制がはじまるまでの議会制民主主義・指導される民主主義時代である1950年代に的を絞り、「オランダ」という共通の敵がいなくなったあとで、地域差が著しく、民族・文化的背景の異なる歴史環境の下で共存する「インドネシア」の住民は、どのように内部の利害対立・紛争を交渉・調整していったのかという問題意識のもと、当時の社会問題に関する情報を集めた。文献調査中にインドネシア独立戦争に参加した残留「インド」兵や1950年代の「インドネシア人」の境界に関する記事を発見することができたため、当初の滞在予定を延長し、現地で研究を続けた。その結果、「残留兵の比較史・序説」という研究ノートを学会誌に寄稿し、ガジャマダ大学文化科学学部歴史学科・インドネシア歴史学院・ライデン大学・オーストラリア国立大学共催国際会議「独立と自己変容-ポストコロニアルなインドネシアのアイデンティティ-」第6セッションなどの場において研究発表を行い、インドネシア側の視点に立脚した研究の成果を出すことができた。
|
Research Products
(5 results)