2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00811
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三枝 栄子 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケイ素 / 立体保護 / 多重結合 / 速度論的安定化 / ハロシラン / シレン / ジヒドロシレン / シリン |
Research Abstract |
高周期14族元素間多重結合化合物は、アルケン、アルキン類の高周期類縁体として興味が持たれる。アルケンの高周期類縁体(ジメタレン)は、かさ高い置換基による速度論的安定化の手法により種々安定な化合物として合成・単離されている。一方、アルキン高周期類縁体(ジメタリン)も近年合成が達成され、その性質が解明されつつある。本研究では、新規な含ケイ素三重結合化合物の合成と物性解明を目的とし、未だ報告例のないケイ素-炭素間三重結合化合物であるシリンの合成・単離を行い、その性質の解明を目指している。今年度は、まずケイ素-炭素間二重結合化合物であるシレンの合成を目的とし、その前駆体の合成および反応性について検討した。具体的には、ケイ素上に立体保護基としてBbt(2,6-[CH(SiMe_3)_2]_2-4-[C(SiMe_3)_3]-C_6H_2)基を導入したジクロロシラン(BbtSiHCl_2 1)と、TipCH_2TeMes(Tip=2,4,6-triisopropylphenyl,Mes=2,4,6-trimethylphenyl)を前駆体としてLi-Te交換により発生させたベンジルリチウム種との反応によりかさ高いベンジル置換クロロシラン(BbtSiHClCH_2Tip 2)を得ることに成功した。化合物2に対し、塩基による脱HCl反応を行いジヒドロシレン(BbtSiH=CHTip 3)の発生を試みたところ、^1H NMRその他分析手法により原料の消失は確認されたものの、目的化合物と思われるスペクトルを確認することはできなかった。各種試剤による捕捉反応を試みたが、最終的には3の水付加体であるシラノール[BbtSiH(OH)CH_2Tip 4]が得られた。4の構造は各種スペクトルおよびX線結晶構造解析によっても支持されている。今後の展開として、ケイ素上および炭素上の脱離基の検討、および炭素上の置換基をチューニングすることで反応性を変換し目的化合物の合成を試みる。
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Research Products
(3 results)