2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトテロメア配列におけるDNAの構造とその形成メカニズム
Project/Area Number |
09J00815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三戸 祐太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒトテロメア / DNA / 四重鎖構造 / テロメラーゼ / DNAオリガミ / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
染色体の末端はテロメアと呼ばれ、老化や癌とのかかわりから非常に注目を浴びている。このテロメアの末端部分は一本鎖で構成されており、特にヒトテロメアではGGGTTAの繰り返し配列をしている。このようなグアニンを豊富に含む配列では四重鎖構造を形成しやすいことが報告されており、四重鎖構造がテロメラーゼの活性を阻害することから、その詳細な構造について様々な研究が行われてきた。 しかしながら、一本鎖のDNAがどのように折りたたまれて四重鎖構造を形成するかといった形成メカニズムに関する研究についてはほとんど行われていなかった。そこで計算化学を用いたアプローチにより、四重鎖構造の形成メカニズムについて検討した。グアニン塩基のsyn/anti conformationやカリウムイオンが配置したときの安定性、スタッキング相互作用などを検討して様々な中間体の安定性を検討した結果、一本鎖が折りたたまれてヘアピン構造を形成し、その後三重鎖構造を経て四重鎖構造を形成することがわかった。 次に、一本鎖のDNAが四重鎖構造を形成する様子を原子間力顕微鏡により観察した。原子間力顕微鏡は技術の進歩により溶液中での観察が可能になり、様々な生体高分子が原子間力顕微鏡により観察されている。そこで溶液中でDNAが四重鎖構造を形成する様子を原子間力顕微鏡により観察を行った。観察にはDNAオリガミ法を用いてDNAナノ構造体を形成し、四重鎖構造の形成によって、ナノ構造体が変化するような設計を行った。このDNAオリガミによるナノ構造体を原子間力顕微鏡で観察することで、リアルタイムで四重鎖構造が形成される様子を観察することに成功した。このリアルタイムでの観察はこれまでに例が無く、様々な学会で発表し高い評価を得ることが出来た。
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Research Products
(10 results)