2009 Fiscal Year Annual Research Report
半古典近似を用いた非線形Schrodinger方程式の解析
Project/Area Number |
09J00824
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
眞崎 聡 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 微分方程式 / 非線型シュレディンガー方程式 / 半古典近似問題 / WKB近似 / 漸近挙動 / オイラー方程式 |
Research Abstract |
非線型シュレディンガー方程式にプランク定数に相当するパラメータをいれて、そのパラメータをゼロに近づける半古典曲極限と呼ばれる極限下での解の挙動を探る。この極限は物理現象をマクロな視点から見ていることに対応しており、量子力学で支配される世界から古典力学で支配される世界への移行を記述する。 21年度の目標として、流体力学の手法を学び、古典軌道を解析することを挙げた。これについて大きな成果が得られた。特に、シュレディンガー・ポアッソン方程式系において、ある特殊な形の初期値を与えると、対応する古典軌道が焦点を形成せずに時刻無限大まで伸びることがわかった。この研究では対応するオイラー・ポアッソン方程式の解の非常に詳細な解析が必要であった。また、この特殊例に対しては、半古典極限におけるWKB型の解の近似が準大域的に成立することも示した。 また、6月にフランス・イギリスに一か月滞在して、国際研究集会において研究発表を行い、また海外の研究者と議論を交わし情報交換を行った。そこでの情報交換をもとにして、シュレディンガー・ポアッソン方程式系における解の半古典極限におけるWKB型近似を空間2次元に対して拡張した。先行結果で1次元と3次元以上に関しては知られていたが、2次元についてはわかっていなかった。 この結果に関しては反響も大きく、9月に開催された日本数学会2009年度総合分科会で初めて発表したのち、約3カ月の間にセミナーや研究集会などで7回もの講演の機会を得ることにつながった。
|