2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内外のストレスに応答するKeap1-Nrf2システムの多様な感知機構
Project/Area Number |
09J00858
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
李 麗 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Nrf2 / Keap1 / 過酸化水素 / トランスジェニックGFPフィッシュ / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は、多岐に渡る種々ストレスを感知するKeap1-Nrf2複合体のストレスセンサーの分子基盤を理解することで、その成果の医療や創薬への還元を将来的な目標とする。今年度は、過酸化水素及び小胞体ストレスの応答経路の解析を行った。 過酸化水素センサーに関しては、候補の中から、グルタチオンペルオキシレドキシンGpx4が浮かび上がり、これに着目して検討を行った。初期胚は、過酸化水素に対する応答が非常に弱いが、Gpx4を発現させると多少応答するようになった。ただ、残念ながら、Gpx4をノックダウンしても幼魚での過酸化水素感知は正常であった。Gpx4は、Keap1-Nrf2システムのセンサーである可能性はあるが、主要なものではないと予測された。主要センサーに関しては、ライブラリーを用いた新規分子の探索を試みるところである。 次に、小胞体ストレスセンサーを調べた。具体的には、小胞体ストレスが常時に亢進してNrf2が活性化される突然変異it768の幼魚を用いた。小胞体ストレス応答の代表的な3経路のうちperkをノックダウンすると、it768におけるgstp1の恒常的な発現が減弱することがわかった。この結果により、Nrf2を活性化する小胞体ストレスセンサーはPERKであることがわかった。次に、PERKがどのようにNrf2を活性化するかを明らかにすることを目的に解析を進めた。幼魚期では、小胞体ストレス誘導剤は、gstp1をNrf2依存的に活性化する。しかし、胚期では、Nrf2とKeap1を過剰発現させても、小胞体ストレス誘導剤処理ではgstp1の発現誘導できない。初期胚では、何らかの重要因子の発現が足りないと推測された。現在、その因子の同定を試みている。 センサー分子及びその関連因子の探索や同定を迅速に行うために、トランスジェニックGFPフィッシュを活用した系を構築した。Nrf2活性化剤処理により、発光する系統を見出した。この系統の胚を用いることにより、簡便・迅速な因子探索や解析ができるようになったことである。次年度の解析にぜひ活用したいと考えている。
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