2010 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子論におけるフレーバー構造の解明とその起源について
Project/Area Number |
09J00897
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 洋 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特任助教
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Keywords | 素粒子論 / フレーバー構造 / 格子ゲージ理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、素粒子論におけるフレーバーの複雑な構造の起源を調べ、高エネルギー領域からの具体的な導出を目標とするものであった。初年度目では、クォーク・レプトンに存在する大きな世代間質量階層性の問題に対し、余剰次元内での各世代の場の局在から指数的に減少する湯川結合が得られるというモデルの研究を行った。特に現象論的に有望な背景磁場を持つ余剰次元モデルから、様々な離散的対称性が得られる事を見出した。これは高エネルギー理論と素粒子標準模型との関連性において、重要な示唆を与えるものであり、重要な研究成果であると言える。また本年度は、フレーバー構造と密接に関連する質量の起源に関する研究を行った。フレーバー構造を議論する上でヒッグス粒子の真空期待値は重要なパラメータであり、ヒッグス粒子の真空期待値、すなわち電弱対称性の破れを引き起こす機構として、強いゲージ相互作用を伴った動的な破れが、近年注目されている。そうした動的な破れは場の理論の非摂動的効果が重要であるため、格子ゲージ理論による数値計算が必要となる。そこで、本年度は格子理論におけるゲージ結合定数の有効な測定法を研究し、また具体的なQCDのモデルの数値計算に適用し、その手法の有効性を明らかにした。これにより、従来よりも精密な決定が可能となり、上記のモデルの計算に応用する事が可能である。現在はこれらの研究成果を踏まえ、幾つかの具体的なモデルにおけるゲージ結合定数の計算、フェルミオン双一次形式の異常次元、擬スカラー場の質量の測定等を行っており、現実的なフレーバー構造を持ちうるモデルの探索とその検証へと進展させていく予定である。
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Research Products
(5 results)