2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00900
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森岡 翔 名古屋大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TAK1 / TNF / 細胞死 / 血管内皮 / 血管新生 |
Research Abstract |
TAK1による細胞死制御機構の生体内における重要性を解明することを目的として、TAK1ノックアウトマウスの解析を行った。TAK1機能解析のために当研究室で作成された様々な組織特異的TAK1ノックアウトマウスのうち、内皮細胞特異的なノックアウトマウスにおいて血管内皮のアポトーシスが増加し血管の構造が粗になっていた。また内皮細胞特異的なTAK1ノックアウトマウスは胚性致死の表現型を示した。これらの結果から、TAK1が血管内皮細胞のアポトーシスを抑制することで、血管形成に重要な働きをすることを示唆していた。TAK1による細胞死制御機構をより詳細に理解するため、TAK1の結合因子であるTAB1とTAB2の解析を行った。血管内皮特異的なTAB1ノックアウトマウスは、正常に産まれ血管構造に異常を持たなかったのに対し、TAB2のノックアウトマウスは胚性致死の表現型を示し、TAK1ノックアウトマウスと同様に血管の構造が粗になっていた。これまでの研究からTAB2は、サイトカインによるTAK1の活性化に重要な働きをしていることがわかっていたため、TAB2ノックアウトマウスの血管内皮におけるTAK1の活性を検討したところ、野生型に比べ、TAK1の活性が著しく低下していた。これらの結果は、血管内皮において、TAB2によるTAK1の活性化が血管形成に重要な働きをしていることを示していた。次に、TAK1ノックアウトマウスによって観察された細胞死の原因因子についての解析を行った。これまでの結果から、TAK1はTNFファミリーによる細胞死を負に抑制することが明らかになっていたため、TAK1とTNFR1のダブルノックアウトマウスを作製し解析を行った。この結果、TAK1ノックアウトマウスにおいて観察された血管内皮におけるアポトーシスが抑制されていた。また、TAK1とTNFRダブルノックアウトマウスにおける致死性は、TAK1ノックアウトマウスに比べ、部分的にレスキューされていた。これらの結果は、TAB2/TAK1シグナルが血管内皮においてTNFによるアポトーシスを抑制することで血管形成に重要な役割を果たしている可能性を示唆していた。
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Research Products
(1 results)