2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00903
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
前原 吾朗 上智大学, 総合人間科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚 / 輝度コントラスト / 弱視 / 両眼視 |
Research Abstract |
採用2年目となる平成22年度において、2編の学術論文を査読付学術雑誌において公表した。 初期視覚系においては、視野全体を単一のメカニズムが処理するのではなく、視野の部分(受容野)ごとに異なるメカニズムが処理を担当していることが知られている。しかし、これらのメカニズムは完全に独立しておらず、相互作用があることが示唆されている。Journal of Visionに公表した論文では、こうした空間的相互作用が、単眼からの情報を処理している段階で生じているのか、それとも左右眼からの情報が統合された後に生じているのかについて検討した。両眼呈示条件において、刺激の輝度コントラストが低いとき、フランカーは弁別閾を低下させた。単眼呈示条件においても同様の効果が見られたが、弁別閾の低下は比較的小さかった。両眼分離呈示条件では、フランカーの効果は失われた。このデータに対する両眼視輝度コントラスト増幅調整モデルの当てはめから、フランカーは単眼情報処理過程において空間フィルタからの出力を変動させていることが示唆された。 Investigative Ophthalmology & Visual Scienceに公表した論文では、効き目を測定する6つの標準的なテストと、我々の開発した新しいテストとを比較した。新しいテストでは、特定方向に大域運動するドット群を単眼に呈示し、もう一方の眼にランダムに運動するドット群を呈示した条件で、大域運動を知覚することにできるドット比率が計測された。新しいテストの結果は、健常者には強い眼間抑制を示す群と、弱い眼間抑制を示す群とが存在することを示唆していた。 こうした視覚情報処理における両眼相互作用の知見に基づいて、今後は弱視のメカニズムを明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)