2009 Fiscal Year Annual Research Report
北米先住民ホピの知的財産権問題をめぐる文化人類学的研究
Project/Area Number |
09J00929
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
伊藤 敦規 National Museum of Ethnology, 先端人類科学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 米国先住民 / アート / 市場 / 博物館 / スピリチュアリティー / 知的財産権 |
Research Abstract |
米国南西部先住民による米国内外で生じる知的財産権問題への認識と対応について、主にアート市場、博物館資料、スピリチュアリティー指向者による表象を文化人類学的に検討する研究計画の初年度である本年度は、以下の調査・研究・成果報告を行った。6月、天理大学で開催された国立民族学博物館共同研究会にてホピの知的財産権問題についての概要を口頭発表した。7月、米国先住民ズニのズニ博物館長と国立民族学博物館(大阪)にて資料熟覧調査を行い、一連の作業を音声・映像資料として記録し、調査の一部を国立民族学博物館の月刊誌に執筆した。同様に11月にもズニ博物館長と資料調査を行った。12月、米国アリゾナ州とニューメキシコ州にて2カ月のフィールドワークを実施し、アーティストやその拡大家族成員を対象に、アート作品制作技術やコミュニティにおける知的財産(宗教的知識)の管理の様態について聞き取りをした。ジュエリー制作過程の記録も行った。また米国滞在中の一時期には、ホピ村落の宗教的指導者代理と共にメキシコに行き、米国人スピリチュアリティー指向者によるメキシコでの活動を予備的に調査した。日本国内では札幌、東京、大阪、神戸にてホピアート市場調査を行った。これら調査で得られた資料分析・整理のための研究活動を実施した。特に、日本の状況(アート市場と博物館収蔵資料)についてアウトリーチ報告会を数回開催し、ホピのアーティスト、ギャラリー経営者、自治政府知事・代議士・官僚、州政府官僚と共有を図った。比較研究として日本のアイヌ民族が抱える知的財産権問題について検討する北海道大学アイヌ・先住民研究センター共同研究会にて口頭発表も実施している。3月、チェコ共和国プラハで開催された国際学会(America Indian Workshop)にて口頭発表を行い、その後プラハ市内の国立民族学博物館にて米国先住民資料の調査を行った。
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Research Products
(24 results)