2009 Fiscal Year Annual Research Report
中間的スケールにおける脳情報処理の一般ネットワーク数理モデルの構築及びその解析
Project/Area Number |
09J00937
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥 牧人 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経情報処理 / メゾスケール現象 / 数理モデリング / 結びつけ問題 / 進行波 / アトラクタ |
Research Abstract |
脳の情報処理メカニスムを解明するにあたり、ミクロレベルの電気的、化学的な信号処理と、生体の行動として観測されるマクロな現象との間には大きなギャップがあることが問題となっている。本研究は、それらの中間にあたるスケールで生じるさまざまな現象を適切に記述するための数理モデルの開発及びその解析を目的とするものである。 本年度は、これまでの研究で得られていた数理モデルをベースとして、理論的により洗練された新たなモデルを構築することを計画していた。当初の計画段階では、離散時間系での進展を予想していたが(例えば、動的ベイジアンネットワークやマルコフ連鎖の分解表現といった枠組みを用いた再定式化など)、それらは現状まだあまり成果が出ていない。 一方で、連続時間系において大きな成果が得られた。脳の中間的スケールの重要な現象の一つに、「結びつけ」というものがある。本研究では、この現象に対して新たな連続時間系の数理モデルを提案し、それを用いて、「局所的アトラクタと大域的アトラクタの関係」という新たな観点に立った解釈を示すことに成功した。 また、中間的スケールにおいて生じる諸現象を数値実験によって確認するという目的で、並列計算を用いた大規模な神経回路のシミュレーションにも取り組んでいる。これにより、ネットワークの構造変化や各素子の内部パラメータなどの違いによって、大規模な「アトラクタ交代」や、近年神経科学の分野で注目されつつある「進行波」などの諸現象が観測された。
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Research Products
(2 results)