2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00941
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉山 真也 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 遺伝子型 / 正常肝細胞 / 3次元培養 / 多核化 / 病原性 / 発癌 / ゲノム |
Research Abstract |
本年度は前年度までに樹立を行った3次元での肝細胞培養システムでのアッセイを実施した。複数の細胞株から選定を行い、KIM-1株が最も感染効率が良好であった。HBVの各構成遺伝子を個別に遺伝子導入することでこの多核化出現の原因遺伝子を検討した。各遺伝子の発現の後に、フローサイトメーターで核数の検討を行ったところ、HBX遺伝子を発現するもので多核化が誘導されていた。続いて、HBX遺伝子の野生型、1762T/64A変異型、1653T変異型、1653T & 1762T/64A変異型を作成し、HuH7細胞にトランスフェクションすることでcDNAマイクロアレイ解析を実施した。その結果、1762T/64A変異型では他と比較した場合に、DNA polymerase alpha (POLA)が有意に減少していることを見出した。POLAとChk1のS345リン酸化には密接な関連にあるため、HBXの各変異体に関して、Chk1のS345のリン酸化の程度とPOLAの発現レベルについてリアルタイムPCRとイムノブロットで解析を行なっているところである。並行してHBX遺伝子のトランスジェニックマウス(TGマウス)の作出を実施した。HuH7細胞に使用したものと同じ変異型を利用し、C57BL/6マウスにそれぞれの遺伝子を組み込んだ。PCRとサザンブロットによりトランスジーンの有無を確認し、それぞれのトランスジーンを保有数するHBX-TGマウスを繁殖することができた。現在、各系統でトランスジーンのホモ化作業を進めている。 当初の計画通り、TGマウスの作成と繁殖に成功した。また、in vitroでのマイクロアレイ解析によりChk1と直接的な関連を持つPOLA遺伝子を同定した。細胞株レベルでHBXとChk1、POLAの関係性を解析すると共に、TGマウスを利用して個体レベルで、HBXがもつ肝細胞の多核化機構について検討を進める。
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