2010 Fiscal Year Annual Research Report
動物モデルによる社会的ストレスの緩和メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J00979
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中易 知大 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会的ストレス / 不安 / 高架式十字迷路 / 社会的緩衝効果 / 同居経験 / ラット |
Research Abstract |
他個体との相互作用を通して,ストレス反応や嫌悪的経験の影響の軽減か生じるという現象が報告されており,それは「社会的緩衝効果」と総称されている.ラットを用いたこれまでの研究によって,社会的ストレス経験である敗北後に他個体との飼育を行うことによって,敗北による不安亢進が抑えられることが示されてきた. 平成22年度では,同居経験が不安亢進抑制に関与するのかどうかを検討した.そのために,敗北後に一緒に飼育するペア相手との,敗北処置前の同居期間を操作することによって,不安亢進の抑制に対してどのような影響を与えるのかを調べた(実験1).実験の結果,敗北前の同居期間が短い(3日間や14日間)と,敗北による不安亢進は抑えられず,不安亢進の抑制には,敗北前に一定期間(少なくとも48日間)の同居が必要であることが示された.実験2では,敗北処置前の同居期間を操作することそれ自体によって,不安レベルの違いが生じている可能性について検討した.その結果,同居期間を操作しただけでは,不安レベルに群間差は生じなかった.このことから,実験1の結果が,敗北処置前の同居期間を操作したことそれ自体によって生じているとは考えにくいと言える.これらの実験によって,ペア相手との飼育によって敗北後の不安亢進が抑えられるかは,その相手との同居期間に依存しているということ,つまり,同居経験が敗北による不安亢進の抑制に重要であることが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)