2009 Fiscal Year Annual Research Report
動物モデルによる社会的ストレスの緩和メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J00979
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中易 知大 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会的癒し / 身体接触 / ストレス緩和 / 社会的ストレス / 不安 / 高架式十字迷路 / ラット |
Research Abstract |
ヒトにおいて、親しい人々との交流を通しての社会的癒しは心身の健康に対してポジティブな影響をもたらす。研究代表者はラットによる研究を行い、社会的ストレス後の既知個体との飼育によって社会的ストレスにより引き起こされる不安・うつ関連行動が軽減することを示し、ラットを含めた動物においても社会的癒しが存在する可能性を示唆してきた。 社会的ストレスから14日間既知個体とペア飼育することにより、高架式十字迷路における不安関連行動が軽減することが示されていた。実験1では、社会的ストレスから1、7、14日後の不安関連行動を測定することにより、社会的ストレスの影響が軽減するまでの過程を検討した。社会的ストレス後に単独飼育した群は時間経過とともに不安が亢進する一方で、ペア飼育した群ではそのような傾向は見られず、14日後のテストでは社会的ストレス後に単独飼育した群の方がペア飼育した群よりも不安が亢進した。これらの結果は、ペア飼育は社会的ストレスにより引き起こされる漸進的な不安の亢進を妨害することを示唆している。また、これまでの研究から金網ごしに既知個体と飼育するだけでは社会的ストレスの影響が軽減しないことが示唆されていたが、最近の研究から、ストレスの影響を軽減させる感覚情報が種特異的である可能性が示唆されている。ラットを含めた齧歯類では嗅覚コミュニケーションが主要であり、ニオイがストレス軽減に関与している可能性がある。そこで、ストレス経験からテストまでの14日間において、3日に1回被験体のケージを既知個体によって汚されたケージに交換することによって不安が軽減するかを実験2で検討した。結果、単独飼育した群同様、汚されたケージを呈示した群の方がペア飼育した群よりも不安が亢進することが示された。これらの結果はペア飼育による社会的癒し効果が発揮されるためには、身体接触が必要であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)