2009 Fiscal Year Annual Research Report
内部構造を考慮した細胞力学モデルの構築と細胞骨格のリモデリングの解明
Project/Area Number |
09J01007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
氏原 嘉洋 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞骨格 / アクチンフィラメント / ストレスファイバ / アクチンネットワーク / 細胞力学モデル / 引張特性 / 圧縮特性 / シミュレーション |
Research Abstract |
様々な手法で計測された細胞の力学的特性を統一的に解釈できるモデルを構築するために,本年度は,(1)アクチンフィラメントの束構造を破壊した細胞の引張試験,(2)細胞力学モデルの膜面の強さを表すパラメータの設定,(3)細胞力学モデルを用いた圧縮試験シミュレーション,を行った.(1)では,アクチンフィラメントの束構造をBlebbistatinとY-27632を併用して破壊した細胞の引張試験を行った.得られた荷重-伸び曲線を,過去に行った無処理の細胞の引張試験の結果と比較することにより,アクチンフィラメントの束構造が細胞の引張特性に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.(2)では,細胞膜と細胞核からなる細胞力学モデルを用いて,(1)で行った引張試験のシミュレーションを行った.実験で得られた荷重-変形曲線と一致するような細胞の膜面の強さを表すパラメータの組み合わせを探索的に決定し,細胞力学モデルをより精緻なものに改良した.(3)では,アクチンフィラメントの束構造を含む細胞力学モデルを用いて細胞の圧縮試験シミュレーションを行った.得られた荷重-変形曲線は,過去に行った圧縮試験結果と定量的に良く一致した.細胞の圧縮に伴って,アクチンフィラメントの束構造は圧縮方向に対し直交する方向に受動的に配向していった.圧縮方向に対して直交方向に配向したアクチンフィラメントの束構造は,圧縮方向と直交する方向への細胞の伸張に対する抵抗力となるため,結果として細胞の圧縮特性に寄与することを示した.
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