2010 Fiscal Year Annual Research Report
中絶による心理的反応への心理的援助に関する探索的研究
Project/Area Number |
09J01017
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
管生 聖子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 人工妊娠中絶 / 心理的反応 / 周産期喪失 / 罪悪感 / 悲嘆 / 意味づけ / 半構造化面接 |
Research Abstract |
これまでの周産期の死に関する研究では、流産・死産においての心理的諸問題を明らかにする、またそれらに対するアプローチに関心がよせられ研究が進められてきた。しかし、同じ周産期の死でもある人工妊娠中絶にまつわる心理的な問題に関する研究はほとんどされてこなかったことから,本研究においては,医学的適応による人工妊娠中絶経験者の心理的反応がいかなるものか捉えるため,質問紙調査およびインタビュー調査を行ってきた。 前年度に引き続き、身体的・心理的反応に着目し、人工妊娠中絶によって引き起こされた身体的・心理的反応が時間と共にどのように変化してゆくかを検討した。時間の経過と共に、それらが収束してゆくのか、持続されるのか、いずれの場合もどのような要因がそれをさせているのかを明らかにするため,継続的な半構造化面接,時間的な経過に着目しての調査を行った。 結果,一時的な情緒的の落ち込みは医療機関との関係が途切れる1ヶ月後以降に起こりやすいものの,周囲の反応などに影響を受けながら時間と共に,自身の中で意味づけられ,また当事者のそれまでの人生において残されてきた問題を再認識させることとなる可能性が示された。医療従事者や当事者を取り巻く人々の関わりの重要性と,罪悪感,悲しみや落ち込みの表現が必ずしもネガティブな結果につながるのではないということが考えられる。本研究の成果は遺伝診断等が進歩する現代社会において非常に意義深いものとなると思われる。
|
Research Products
(2 results)