2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動準備期に行われるメンタルプラクティスが運動プランニングに及ぼす効果
Project/Area Number |
09J01059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今井 史 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メンタルイメージ / 結果イメージ / 運動プランニング / メンタルプラクティス / 運動準備時間 / 運動時間 |
Research Abstract |
本年度は昨年度行った実験の結果の再分析,そして新規実施した2つの実験によって,以下の成果を得ることができた。まず,実験参加者がダーツを練習し,その後にダーツの飛び方をイメージして(結果イメージの生成)ダーツ投擲を行った場合は,イメージしたダーツの飛び方に対応して実際にダーツが刺さる位置(着矢点)が変化するという現象が観察された。具体的には,実際に狙うべき標的より上方へ外れるダーツの飛び方をイメージした場合(above image)は,下方へ外れる飛び方をイメージした場合(below image)よりも着矢点が相対的に高くなっていた。これは結果イメージに応じて動作がシステマティックに変化することを示唆するデータである。なお,こうしたイメージの効果は実験の序盤においてのみ観察された。これは,参加者がイメージの影響に左右されずパフォーマンスを安定させようとして,上記のイメージ後に改めて標的に到達するダーツの飛び方をイメージし直すなどしていたこと,さらに試行を重ねるにつれそうした補償的心的処理が上達していったためと解釈される。参加者が修正を行っていたことは,above,below image条件は標的に命中する飛び方をイメージするhit image条件と比べて運動準備時間(動作を準備するための時間)が長くなるというデータが得られたことによって,裏づけられている。次に,事前にダーツを練習せずにテストを遂行した参加者においては,事前に練習を行った参加者とは異なり,イメージによる着矢点の変化が観察されなかった。これらの成果は,「動作とその結果の関係を学習した後の段階では,結果イメージに基づいて動作が計画される」という仮説を支持する証拠となるであろう。
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Research Products
(3 results)