2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊川 剛久 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自発的寄付メカニズム / 実験 / 意思決定エラー / 協力 / 利他主義 |
Research Abstract |
経済的インセンティブを持たないときでさえ、なぜ人々は協力するのか。これは経済学者にとって最も難しく、最も興味深い疑問の一つである。公共財の自発的供給に関する実験研究は、これまで数多く行われてきた。そのほとんどが、線形の利得関数を用いており、プレーヤーは公共財に一切お金を出さないのが支配戦略となる。しかしながら、この理論的予測に反し、被験者は支配戦略よりも有意に大きい貢献を行うという結果が観察されてきた。このような過剰貢献の原因は、いまだによく分かっていない。そこで、本研究は、この過剰貢献の背後にある動機を、実験を通じて明らかにすることを目的とする。我々は、意思決定エラー、協力的動機、利他主義的動機という少なくとも三つの動機を分離・識別する実験をデザインした。意思決定エラーとは、文字通り、利得構造がよく分からないため最適な戦略を選択できないことを意味する。協力的動機とは、パレート効率的な資源配分の達成を目的とする動機である。利他主義的動機とは、相手の利得の最大化を目的とする動機である。我々は、協力的動機と利他主義的動機を分離するための非線形の利得関数と、意思決定エラーによる貢献を識別するための二枚の利得表を用いて実験を行った。結果、過剰貢献の主たる原因は、意思決定エラーであることが分かった。相手の利得構造を知っている場合には協力的動機を示す被験者がいる一方、利他主義的動機は実験を通じてほとんど観察されなかった。
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Research Products
(1 results)