2009 Fiscal Year Annual Research Report
中学生における関係性攻撃のメカニズムの解明と心理教育的応用
Project/Area Number |
09J01088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梅津 直子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 関係性攻撃 / 攻撃動機 / 中学生 / いじめ / 反応的攻撃性 / 能動的攻撃性 |
Research Abstract |
本研究は、中学生を対象に関係性攻撃の低減を目指した介入プログラムを開発し、いじめ問題の予防や中学生の精神的健康や適応に寄与することを目的としている。平成21年度は、プログラム作成の基礎的な知見を得るための調査を行った。本邦の関係性攻撃研究であまり注目されてこなかった、攻撃機能や動機の反応的側面にも焦点を当てるために、関係性攻撃動機を明らかにする基礎的研究、および関係性攻撃動機を測定する尺度開発の研究を行った。中学生・大学生を対象とした質問紙調査により、関係性攻撃動機には多様な側面があり、反応的攻撃としての機能、能動的攻撃としての機能の両者が含まれることが示唆された。いじめ問題と関わりが深いと考えられる仲間関係を意識した動機も得られた。これら知見を踏まえ、関係性攻撃動機尺度を開発した結果、関係性攻撃動機は「怒り・嫌悪」「報復・制裁」「優越感・嫉妬」「防衛・同調」「直接的コミュニケーション不安」「快楽追求」「ストレス発散」「雰囲気」という8つの下位因子から成る構造が示された。本邦では関係性攻撃そのものには性差がないことが一貫して示されているが、攻撃をもたらす動機には性差があることが示され、女子では怒りや同調的な理由、相手との直接的な葛藤を避けるために関係性攻撃を用いやすいことが明らかになった。先行研究では、攻撃機能によって、精神的健康問題の領域や攻撃を促進する社会的情報処理に差異が認められている。本研究において尺度を開発したことにより、関係性攻撃を細分化して捉えることが可能となり、関係性攻撃動機の特徴に合わせた攻撃リスク要因やメンタルヘルス領域を特定することが可能となった。また、本尺度を用いて、関係性攻撃の各動機において適応・精神的健康問題にどのような差異があるかを検討するため、内在化問題、外在化問題、適応指標との関連について調査を実施した。
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Research Products
(2 results)