2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三井 健太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リジッド幾何学 / 曲面の分類 / 楕円曲面 / 特異ファイバー / 正標数代数幾何学 / ガロア・コホモロジー / GIT商 / 代数曲面 |
Research Abstract |
本年度は,リジッド解析曲面の中で特に楕円曲面を研究した.代数曲面や複素解析曲面の分類と同様にリジッド解析曲面の分類においても楕円曲面の分類は重要である.前年度の研究で標準束の公式を得ていたので,特異ファイバーの研究が重要となる.特異ファイバーを調べるために,まず底空間が局所的な場合(底空間が完備離散付値環から定まるスキーム)の楕円束を考察した.局所的な場合を先に考察することで,体系的に特異ファイバーを研究することができる. その結果,次のことが得られた.不変量の計算は,退化ファイバーの被約が楕円曲線の場合に帰着できる.楕円曲線が通常型の場合,不変量や同型類が詳しく記述できる.楕円曲線がその他の場合は,複素解析的な場合と大きく異なる現象が観察された,これらのことを示すために,与えられた楕円束を分離被覆で覆い,楕円束をより単純な構造を持つ楕円束のGIT商として記述した.商をとる前後での不変量の変化を研究するため,商特異点や商による分岐の様子を研究した.同時に,同型類を記述するためにガロア・コホモロジーを計算した.楕円曲線の群演算から生じる形式群を係数とするガロア・コホモロジーを詳しく計算することで様々な結果を得た.例えば,特異は不変量を持つ楕円曲面が構成できた.また,小さなガロア被覆では解消できない多重ファイバーを構成することもできた. これらの結果を大域的な場合に応用して,小平次元がOである楕円曲面を分類した.上記の結果は,代数曲面に応用することもできるため,代数曲面に関しても,同様の分類を完成させた.分類に用いたのは,曲面の分類で重要な不変量と曲線束の構造に関する不変量である.特に,特異ファイバーの組み合わせとj不変量が与えられれば,楕円曲面がいかなる種類の曲面であるか判定できることがわかった.
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Research Products
(1 results)