2010 Fiscal Year Annual Research Report
Yang-Mills理論のゲージ不変な変数を用いた解析手法の開発とその応用
Project/Area Number |
09J01129
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 賢一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Yang-Mills理論 / 非摂動論的解析 / Large N / 格子ゲージ理論 |
Research Abstract |
カラーの閉じ込めなど、量子色力学の本質は摂動論では理解できず、Yang-Mills理論の非摂動的振舞いを理解することは、現在の素粒子物理学における最も重要な課題の一つです。我々は、昨年度までに、3次元Yang-Mills理論に対して、Karabali-Nair変数を用いたときにあらわれる対称性(正則不変性)を用いて、効率的な計算手法(Effective Hamiltonian Method)を開発しました。また、この解析をdeconstructionの方法に基づいて、4次元pure Yang-Mills理論の解析へ拡張することも試みました。4次元理論の一次元部分をS^1コンパクト化してさらにS^1部分を格子化するというdeconstructionでは、4次元理論は格子点の数n個だけゲージ群のコピーを持つような3次元の理論と解釈できます。まず簡単のためにn=1の場合を考えました。これは3次元pure Yang-Millsにadjoint scalarが結合している系に対応しており、この場合に対しても、effective Hamiltonianを用いた方法が拡張できることがわかり、glueball massの計算を行うことができました。本年度では、さらに、上記の3次元pure Yang-Mills+adjoint scalar系のstring tensionの解析を行いました。string tensionの解析的表式を得るところまでは至りませんでしたが、ひとつの結果として、Yang-Hills理論+adjoint scalar系のstring tensionとpure Yang-Mills理論のstring tensionの比が、2次元と3次元の場合で等しいという関係が得られました。また、3次元pure-Yang-Mills理論+adjoint scalar系の解析的計算の正しさを確認するために、格子ゲージ理論を用いた数値計算による検証を行いました。その結果、string tensionに関しては、adjoint scalarの効果によるpureな場合とのずれは2次元と3次元で等しくなり、解析的計算の通りになることがわかりました。さらにglueball massの数値計算においても、解析的結果と誤差の範囲内で一致しており、解析的計算の正しさを支持する結果が得られました。
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