2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小なノイズがもたらす進化への大きなインパクトに関する理論的研究
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09J01131
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
上原 隆司 The Graduate University for Advanced Studies, 葉山高等研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 進化グーム理諭 / 協力行動 / 消耗戦ゲーム / 連合 / 群れ形成 / ゼブラフィッシュ / 動物行動 / 理論生物学 |
Research Abstract |
動物の群れでは外敵が侵入した際に積極的に外敵を追い払う個体と、あまり積極的ではないものが出てくる。群れ内での力関係の優劣が存在する時に、どのような条件で群れの個体間での協力関係が成り立つのかを調べるため、個体がいつからいつまで戦うかを戦略として選ぶことができ、闘争中に各プレイヤーがケガを負うリスクを持つとするといった要素を加えた拡張型消耗戦ゲームモデルを構築して調べた。プレイヤーの強さに違いがあり、それによってケガのリスクが異なるとして2対1のシミュレーションを行うと、2個体でペアの弱い方のプレイヤーがしばしばパートナーに頼って闘争に参加しない状況が現れたが、全く戦わない、あるいは、最初はパートナーに任せてしばらく様子を見た後で戦いに参加するという2つの行動が見られた。またペアの2個体が協力して戦う状況はパートナー同士の強さが同等であり、なおかつ、対戦相手も同程度の強さを持っている時に限られることが分かった。すなわち、同程度の強さのペアがいたとしても対戦相手の強さによって協力関係が崩れる可能性があることが分かった。 また水槽に入れられたゼブラフィッシュの行動を撮影し、エサや捕食者などの刺激を提示したときや、装置を用いて人工的に水流を調節して様々な流速を用いた場合の魚の遊泳パターンを解析している。群れ形成と捕食者回避行動の関係性についても調べるため、複数個体を用いた群れ形成の有無も実験条件を変えて観察し、捕食者と餌とを同時に提示された葛藤的状況が生じた場合に、魚が単体である場合と複数個体存在する場合の行動の違いについて現在解析中である。
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