2009 Fiscal Year Annual Research Report
特発性大腿骨頭壊死症の病態、診断、治療に関する基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
09J01160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池村 聡 Kyushu University, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 特発性大腿骨頭壊死症 / 動物モデル / ステロイド / アルコール / 性差 / 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折 / MRI |
Research Abstract |
(基礎的研究) 特発性大腿骨頭壊死症の病因検索 1.ステロイド性家兎骨壊死モデルにおける、骨壊死発生に関する性差の検討 ステロイド性家兎骨壊死モデルを用いて、雄雌間での骨壊死発生率の検討を行った。骨壊死発生率は、有意に雄家兎で高く、また雄群では形態学的・血液生化学的脂質代謝異常を強く認めた。動物モデルでの骨壊死発生に関する性差を明らかにした事は、今後のステロイド性骨壊死の病因検索においても重要な情報となり得る。 2.アルコール投与家兎における脂質の変化に関する検討 アルコール性骨壊死は、未だ動物モデルも確立されておらず、発生機序は不明である。アルコール投与における、形態学的・血液学的な脂質の変化について検討した。1日1回4週間アルコールを経胃的に投与した結果、アルコール高用量投与群の骨髄脂肪細胞径は、コントロール群に比し有意に大きかった。また、血液学的にはアルコール高用量投与群の中性脂肪値およびコレステロール値はコントロール群に比し有意に高かった。 本研究結果より、アルコール投与による脂質代謝異常は投与後早期から認められ、かつ用量依存的である事が分かり、アルコール性骨壊死モデル作成に有用な情報となり得ると考えられた。 (臨床的研究) 大腿骨頭壊死症と大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の鑑別法の確立 圧潰した大腿骨頭の病理組織学的検討を行った結果、16例が大腿骨頭壊死症で、14例が大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折であった。また、病理とMRI所見の対比により、MRI T1像でのバンドの形態(大腿骨頭壊死症:末梢凸、脆弱性骨折:中枢凸)が両疾患の鑑別に非常に有用である事が分かった。更に大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折症例にはステロイド・アルコール歴のない骨粗鬆症を有する高齢女性が、多く含まれていた。脆弱性骨折は保存的治療により治癒する例が報告されているため、両疾患の鑑別は重要で、本研究で得られた画像所見、患者背景などの特徴は臨床上有用である。
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Research Products
(13 results)