2010 Fiscal Year Annual Research Report
c-Cblによる造血幹細胞制御機構と腫瘍化メカニズムの解析
Project/Area Number |
09J01172
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
上原 英輔 自治医科大学, 医学部, 特別研究員DC2
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Keywords | 造血幹細胞 / c-Cbl / homing / Rac |
Research Abstract |
c-Cblは、活性化されたチロシンキナーゼをユビキチン化し、プロテアソームで分解するユビキチン連結酵素(ubiquitin E3 ligase)として働き、チロシンキナーゼのnegative regulatorとして作用する。最近、血液腫瘍においてc-Cblの点突然変異が相次いで報告され、未分化造血細胞におけるc-Cblの役割が注目されている。一方、c-CblはそのC端側にPl-3K p85 subunitやアダプタータンパク質CrkLと結合するチロシン残基が存在するため、細胞骨格制御において何らかの機能を有することが予測された。 本研究で、c-Cbl欠損未分化造血細胞においてケモカインに対する遊走性障害と骨髄微小環境へのhoming能障害が認められ、細胞骨格制御シグナルに重要なRho-GTPase familyの一つであるRacの活性が減弱していることを見出した。これらの障害は、恒常的活性型Rac変異を導入することにより回復した。さらに、遊走性障害とhoming能障害はc-Cbl遺伝子導入で回復したが、これらの障害はc-Cblチロシン残基のTyr700とTry774を変異させたc-Cbl遺伝子では回復しなかったことから、c-Cblチロシン残基のTyr700とTry774を介するシグナルにより調整されていることを明らかにした。 本研究の結果によって、(1)骨髄細胞と骨髄微小環境はRacを介してc-Cblにより制御されている、(2)Rac活性化にはc-CblのTyr700およびTyr774残基が必要である、ことが明らかにされた。
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Research Products
(3 results)