2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳-機械融合システムを用いた昆虫の環境適応能の研究
Project/Area Number |
09J01188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯岸 諒 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳-機械融合システム / 適応能 / 微小脳 / 匂い源探索 / 複数感覚統合 / 昆虫 / 閉ループ実験系 / 身体性 |
Research Abstract |
本研究は、ロボットに搭載したカイコガの脳からの行動指令信号によりロボットを駆動することで、脳と環境との相互作用に介入しながら生物の環境適応能を調べることを目的とする.このような実験システムを私たちは「脳-機械融合システム」と呼ぶ. 今年度は、本実験系において、脳からの出力信号を十分な精度で計測するために小型生体計測アンプの増幅率の強化、ノイズ耐性を向上させた改良を行った.同時に、フェロモン刺激を与えたときのカイコガの歩行運動パターンと、同様の刺激を与えた時の神経活動との対応を調査し、スパイク-行動変換アルゴリズムの改良を行い、カイコガの定型的行動パターンやフェロモン源定位行動を安定して再現するシステムとして脳-機械融合システムを確立した. このような実験系を用いて、身体であるロボットの運動出力を任意に操作する実験を行った.その結果、運動により生じる指令信号の変化をとらえることに成功し、視覚情報による運動補正の存在が示唆された.また、自身の信号による運動開始前後で神経活動パターンが変わることも分かった.これらの結果から、生物のもつ環境適応能に関する今後の実験展開が期待される. また、行動指令信号の計測に加え、移動ロボット上でカイコガ触角への電極刺入による触角電位計測を行い、実環境中でフェロモンの入力刺激を同時計測し、脳からの出力である行動指令情報との関係から内部情報処理にせまることの出来る実験系に拡張した.さらに、フェロモン受容細胞にチャネルロドプシンを発現させて、嗅覚系を光刺激で駆動出来るようにした遺伝子組み換えカイコガを融合システムに搭載して、制御可能な光刺激に対してカイコガの行動に対応すると考えられる神経活動パターンを記録した.従来、刺激タイミングの正確な制御が不可能だった匂い刺激を光刺激で代替することで、任意の刺激を与えながら脳の情報処理に迫ることが出来ると考えられる.
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Research Products
(6 results)