2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳‐機械融合システムを用いた昆虫の環境適応能の研究
Project/Area Number |
09J01188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯岸 諒 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳-機械融合システム / 適応能 / 微小脳 / 匂い源探索 / 複数感覚統合 / 昆虫 / 閉ループ実験系 / 身体性 |
Research Abstract |
本研究は,ロボットに搭載したカイコガの脳からの行動指令信号によりロボットを駆動することで,脳と環境との相互作用に介入しながら生物の環境適応能を調べることを目的としている.このような実験システムを私たちは「脳-機械融合システム」と呼ぶ. 我々は前年度までに,脳-機械融合システムにおいて,脳からの出力信号を十分な精度で計測するために小型生体計測アンプの増幅率の強化,ノイズ耐性を向上させた改良を行った.同時に,フェロモン刺激を与えたときのカイコガの歩行運動パターンと,同様の刺激を与えた時の神経活動との対応を調査し,スパイク-行動変換アルゴリズムの改良を行い,カイコガの定型的行動パターンやフェロモン源定位行動を安定して再現するシステムとして脳-機械融合システムを確立した. 2010年度はこのような実験系を用いて,身体であるロボットの運動出力を任意に操作したときの神経出力の変化を調べる実験を行い,カイコガの脳をコントローラとしたシステム制御工学的視点からの分析まで行った. その結果,カイコガの脳は回転角速度情報を用いて身体をフィードバック制御していることが示唆され,モータ出力にバイアスがかかった状態で補正的な応答を示し,左右の行動出力に対してシステム全体の動特性を一定に保つような行動規範を持つことが示唆された. 以上の実験から得られた知見を基に,計算機上に仮想カイコガの行動を設定し,仮想的な匂い環境での匂い定位シミュレーション実験も行った,この実験からは匂い源探索時の定位率と定位時間により定義した定位効率がカイコガの回転角速度に依存して変化することが分かり,さらに行動実験で得た実際のカイコガの回転角速度付近で最大値をとるということがわかった.
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Research Products
(10 results)