2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大森 亮介 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インフルエンザ / 理論疫学 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの系統間の免疫距離を二進数配列同士のハミング距離で表すmulti-locusSIR宿主エージェントベースモデルを用い、新系統の誕生時期の解析を行った。感染率に外因性の季節変動性を与えたところ、感染率が季節変動性により最大になる時期より早い時期に新系統の誕生ピークがあり、新系統の中でも将来子孫を残す系統の誕生ピークは新系統全ての誕生ピークよりさらに早い時期になることが分かった。これにより、新系統が誕生する時期は流行シーズンの初期段階になることが分かった。これは誕生する時期が早い系統程、新系統と免疫距離が近い系統の流行が進んでおらず、宿主集団への侵入成功確率が上がる事によるものである。しかしながら出現時期が早すぎると外因性の感染率の季節変動性により感染率が低下するため、流行シーズン初期がウイルス増殖に最適な誕生時期になる。さらに感染者が最大になる時期は誕生してからどの程度時間が経過した時期であるかを解析したところ、殆どの系統が誕生してから一年以上経過して流行がピークを迎える事が分かった。これは宿主の一般免疫応答の効果である、同じ宿主が同時に複数系統に感染することを抑える働きによるものであり、系統が誕生したシーズンは親系統の流行による一般免疫応答により流行が抑制され、親系統の流行が弱くなった時期に流行が拡大する事に起因するものである。この性質は流行シーズン終期に翌年流行する系統が既に宿主集団内に存在する事から、翌年流行する系統の予測可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)