2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大森 亮介 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 理論疫学 / 公衆衛生 / 感染症 / インフルエンザ / コイヘルペス |
Research Abstract |
感染症は未だ人類を脅かす脅威であり、感染症の流行動態の解析と抑制法の開発が必要である。これを受け、以下の研究を行った。(1)コイヘルペスの水温管理による治療法の評価コイヘルペスは感染した個体の80%以上が死亡する非常に毒性の強い感染症で水産業界に多大な被害を与えた。また、コイヘルペスの流行には季節性がある事が知られており、これは感染が起きる水温の範囲が決まっている為である。この特性を利用し、感染が確認された後に水温を感染が起きない様な水温に人工的に変化させ、流行を抑制する治療法が考案された。この治療法を評価し最適な治療スケジュールを決定する為に、水温と感染率の関係性の実験データ(Yuasa et al.2008)をもとに養殖場内の鯉の集団での感染を記述する数理モデルを構築し解析した。(2)学校が引き起こす地域間での流行時期の同期ヒト感染症の流行において、学校は集団密度が高く、又、学童は感染症に対して免疫を持っている事が少ない等の理由で感染症の伝搬で重要な役割を果たしている。特に2009年度に世界中で流行した豚インフルエンザでは感染者の多くが学童であった事から、学校間の流行の解析が全体の流行の解析をする上で重要である。そこで申請者らは、学校とそれ以外の地域が混在した場所での流行のダイナミクスを数理モデルの結果とイギリスのエジンバラでの豚インフルエンザの流行データとの照合により解析した。(3)夏休み、学校閉鎖が引き起こす流行ピークに対する影響夏休みや学校閉鎖は一時的に感染率を下げる事ができるが、その後の流行に対する影響は詳しく知られていない。この影響について、感染症の流行伝搬を記述する数理モデルであるSIRモデル上で流行ピークが訪れる前にある一定期間だけ伝搬率が下がる状況について解析的に解析することにより、夏休みや学校閉鎖後の流行のピーク時の感染者数とその時期について導出した。
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Research Products
(6 results)