2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大地震に伴う重力変化と地球の粘弾性構造-重力観測衛星GRACEを用いた研究
Project/Area Number |
09J01223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 崇 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GRACE / 余効滑り / 粘弾性緩和 / 地震に伴う重力変化 / 2004年スマトラ地震 / 粘弾性球対称地球でもDislocation理論 / 余効変動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、重力観測衛星GRACEから得られる地震に伴う重力変化から、断層滑りと地球の粘弾性構造を明らかにすることである。平成21年度は、粘弾性緩和を無視した弾性体球対称地球を仮定して、2004年スマトラ地震後の余効滑りをGRACEデータからフォワードモデリングで求めることに成功した。 そこで、平成22年度は、研究計画の通り、余効滑りと粘弾性緩和の両方を考慮するため、球対称粘弾性地球モデルで、2004年スマトラ地震後のGRACE及びGPSデータのモデリングを行った。その結果、余効滑りと粘弾性緩和の効果を分離して推定できることに成功し、モーメントマグニチュード9.2の余効滑りの時空間発展と、アセノスフェアの粘性率を10^<19>程度と求めることに成功した。GPSのみを用いた従来の手法では、余効滑りと粘弾性緩和の効果を分離して推定できることは困難であるため、GRACEデータが巨大地震後の余効変動のモニタリングに有用であることが、本研究より示された。但し、今年度のモデリングでは、余効滑りにより生じる粘弾性緩和の影響は含まれておらず、このことによる誤差の評価が課題として残された。 さらに、カルマンフィルターに基づく時空間インバージョン法を用いて、GRACEデータから余効滑りをモデリングした。これより、余効滑りの時間発展を誤差とともに客観的に求めることが可能となった。インバージョンより得られた地震後約1年間の余効滑りモデルは、前年度のフォワードモデリングから得られた結果と有意な差を示さなかった。このことから、前年度のモデリングの妥当性が確認された。しかし、地震後約5年が経過すると、観測値と余効滑りモデルから推定される重力変化の差が大きくなることも明らかとなった。このことから、地震後の粘弾性緩和による重力変化が、約5年時間スケールの重力データには有意に含まれる可能性があるという結論が得られた。
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Research Products
(3 results)