2009 Fiscal Year Annual Research Report
断層帯に存在する水と摩擦発熱が地震の破壊過程に与える影響
Project/Area Number |
09J01224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浦田 優美 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 摩擦熱による間隙圧上昇 / 動的破壊過程 / 数値計算 |
Research Abstract |
断層帯に存在する流体が地震時に果たす重要な役割のひとつに、断層運動に伴う摩擦発熱によって断層帯に存在する間隙流体の圧力が上昇し、断層の強度を大きく低下させる、というものがある。本研究の目的は、この摩擦熱による間隙圧上昇の機構が実際の地震でどの程度効いているのかを明らかにすること、およびこの機構のモデルをより現実的なものに改良することである。 今年度は、自身がこれまでに行ってきた一様な応力場での動的破壊過程の数値実験を、より現実的であると考えられる、深さとともに大きくなる応力下でのものに拡張させた。そして、1つの断層での破壊過程および2つの断層セグメントからなる断層系での破壊過程それぞれについて、間隙圧上昇の機構がどのように働くかを調べた。その結果、断層セグメント間の破壊の乗り移りに関して、流体の存在を考慮していなかった従来の数値計算では説明できなかった実際の地震の性質を、摩擦熱による間隙圧上昇の機構を組み込んだ数値計算を行うことによってある程度説明できることがわかった。この結果は、実際の地震で間隙圧上昇の機構が働いている可能性を支持するものである。現在、論文を投稿準備中である。 また、2005年Tarapaca地震についての研究をすすめた。地震波形インバージョンの結果から示唆された破壊過程の特徴は、「スラブ内で脱水反応がおこると考えられる領域において間隙圧上昇の機構が働く」とするモデルでうまく説明されうることを、間隙圧上昇の機構を組み込んだ動的破壊過程の数値計算を行うことによって示した。Journal of Geophysical Research誌で査読中である。
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Research Products
(3 results)