2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三角 樹弘 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 格子フェルミオン / グラフェン |
Research Abstract |
今年度は第一に、DC1の研究課題である「場の理論的観点に基づくグラフェン系の研究」と直接関係した格子フェルミオンに関する研究に積極的に取り組み成果を上げた。2次元ハニカム格子上の電子系であるグラフェン系を4次元に拡張したCreutz Fermionは、高速度QCDシミュレーションの実現に繋がる「minimal doubling」という性質を有しており、数値計算への応用が期待されている。私と共同研究者はこの格子作用をより広いパラメータクラスへ一般化することに成功した。この一般化されたフェルミオン作用においては、ある条件を満たす4つの4元ベクトルに対し1つのCreutz-type fermionが定義されそれぞれが1対1対応している。したがってこのタイプのフェルミオンの特徴が一目了然になるとともにかなり広いクラスのminimal-doubling fermionを構成したことになる。結果的に、Creutz fermionの本質が詳らかになり、以前より指摘されている離散対称性の欠如等の問題点もより明確に認識されることとなった。さらにCreutz fermionを高次元(偶奇両方)に拡張することにも成功し、次元が上がるにつれminimal doublingを実現するパラメータ領域が狭くなっていき、無限次元の極限で実現不可能になることを示した。この拡張に関しては純理論的な側面が大きいが、一方で5次元のCreutz fermionを4次元にdimensional reductionすることでdomain-wall fermionと類似した機構で4次元の一自由度フェルミオンが出現する可能性があることもわかった。したがってニールセン二宮のno-go定理を回避したカイラルフェルミオン実現への新たな方法という意味でもこの一般次元化には価値があると考えられる。これらの業績については論文誌への掲載はもとより、東京大学、筑波大学へのセミナーの招待という形で評価されている。
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